2012年8月12日日曜日

「女川がれきの受け入れ焼却について」について、八王子市へ再質問


平成24年8月11日
八王子市長 石森 孝志 殿

                                         八王子市 ○○ ○○



「女川がれきの受け入れ焼却について」について、ご回答頂きましてありがとうございました。回答内容の各部分について、それぞれについて再質問をさせて頂きます。

                            記

昨年の東日本大震災の発生以来、被災地では1年が経った今も災害廃棄物の処理が進まず復興の大きな障害となっています。また、地元宮城県女川町からは、一日も早い復興をするために可燃性の災害廃棄物の広域処理を要請されています。

以上について
すでに、宮城県は、再調査の結果、県外処理の広域処理希望量は当初の124.8万トンから27.9万トンへ、がれき量は東京都が受け入れを一方的に決めた時とくらべ、大幅な減となりました。県内における処理にも余裕ができ、外部に委託する必要がなくなったと認識しておりますが、なぜ、東京都は受け入れ計画を見直さないのでしょうか。東京都が見直さないのであれば、独立した自治体である八王子市として、見直しを提言しないのでしょうか。八王子市は都の奴隷ではないはずです。必要性のない政策に唯々諾々と従うのは、地方自治を放棄することではないでしょうか。
なお、すでに女川町ではガレキのほとんどが撤去され、仮置き場に搬入済み。生活圏内にガレキの山は見られない状態です。


東京都市長会では、この依頼に基づき広域処理を実施するもので、平成23年7月には、多摩地域の総意として被災地の災害廃棄物の受入れを決定し、同年11月に東京都市長会、宮城県女川町、東京都及び宮城県の4者間で基本合意を締結しており、本市を含め東京都では、被災地の支援をしていきます。

以上について、
多摩地区の総意と言われますが、手続的にも、道義的にも住民の意見を十分反映しているとは言えない非民主的な決定であり、受け入れることはできません。


さて、東京電力福島第一原発事故由来の放射性物質汚染による諸問題では、京都の五山送り火や静岡県島田市等いろいろな報道がされています。
五山送り火など焼却設備なく薪を燃やすことは、セシウムなどの放射性物質を捕集できず、拡散の恐れはあるやもしれませんが、国が示しているガイドラインでは、排ガス処理装置としてバグフィルター及び排ガス吸着能力を有している施設では焼却可能としており、十分な排ガス設備のある施設では安全な焼却ができると考えています。

以上について、
バグフィルターは放射性物質を吸着する保証はありません。嘘だと思うのであれば、バグフィルターメーカに直接調査をされてはいかがでしょうか。バグフィルターは放射性物質を99.9%吸着する保証はないと、メーカ自身が認めております。ちなみに、島田市における除去率は、物質収支から算出されたCs137の除去率=65%、排ガス分析から算出されたCs137の除去率=53~62%と言われております。市として確認をされたのでしょうか?これは、市民の健康、命に係る問題であり、聞きかじりの情報で判断されるのは困ります。ぜひ、八王子市として独自に実証をするべきではないでしょうか。


また、焼却試験の結果からは、女川町の災害廃棄物は多摩地区の家庭から排出されるごみと同レベルであること、こちらに搬出される災害廃棄物自身の放射能濃度測定の結果からも、平成24年4月に改正された厚生労働省が示す食品中の放射性物質の基準100Bq/kgよりも低い値のものが搬入されており、安全であると認識しています。

以上について
すでに、多摩地区における一般ごみの放射性物質濃度は低下していると思いますが、現在の測定値はどうなっているでしょうか?また、多摩地区ごみと同レベルだからいくら受け入れても構わないということは、どうせ汚れているのだから、もっと汚しても問題ないという意味にとれますが、おかしくはありませんでしょうか?さらに、食品の基準について引き合いに出されておりますが、この100Bq/Kg自体がとても受け入れ難く高い値であり(ドイツにおける目安は大人8Bq/Kg子ども4Bq/Kgです)、事故前であれば、100Bq/Kgを超えるものは放射性廃棄物とされ、核関連施設では、ドラム缶に詰めて厳重に管理されていた値です。原子力規制法で放射性廃棄物として管理しなければならないレベルの基準値を食品の安全基準とすること自体国民の命と健康を蔑にする愚かな政策だと考えます。また、そのような基準値と比較して、低いから安全という認識がどこから出てくるのでしょうか、八王子市としてのご見解をお願いします。
さらに、がれきの放射能を濃度で議論することには、まったく意味がありません。放射能は、薄めても、焼いても消滅しません。いくら薄めても、焼却時に周囲にばら撒かれ、また灰に残留する放射性物質の総量はかわることはありません。濃度で安全かどうかを議論しても意味はありません。放射性物質の総量でどれらけの量が、ゴミ焼却場からばら撒かれるかが問題で、少しずつ出せば瞬間での濃度は低くなり、一気に出せば瞬間での濃度が低くなるにすぎません。濃度を測って低いから安全ですという、いたって非科学的な方法で安全管理ができるという論拠についても納得できるご説明をお願い致します。


なお、焼却においては、850℃以上の高温の炎の中で揮発したり、小さな液粒となって排ガスと一緒に流れていくものと、燃え残りの灰に残るものに分かれますが、放射性セシウムは、沸点1,300℃、融点646℃であり、排ガス中の揮発した放射性セシウムは、煙道で冷やされて、気体状あるいは液状のセシウムは主に固体状態になりばいじんに凝集、吸着します。ばいじんに吸着した放射性セシウムは、バグフィルターでほぼ完全に除去、捕集されますので、大気中に拡散することはないと考えています。

以上について
それでは、バグフィルターの後に、ガス状のセシウムは0、微粒子としてバグフィルターを通過したものも0であるという根拠になる科学的な資料を提示し頂けませんでしょうか。環境省ががれきの広域処理について設置した検討会資料は、4回目以降が非公開となっており、密室の中で議論された根拠について、そのまま信用することはできません。バグフィルターは、布でできており、新品の時は、かなりの粒子状物質をも通過させてしまいます。一定時間使用して、目詰まりをしてきてやっとある程度の粒子の補足効果がみられる訳ですが、放射性物質を除去するために開発されたものではありませんので、常に99.9%。補足可能であるという科学的な説明資料は示されておりません。事実、上述したように、島田市の測定例でも、相当量の漏えいが見られています。


また、焼却灰は、二ツ塚最終処分場のエコセメント化施設でエコセメントの原料となります。こちらの施設においても、放射能濃度測定を実施しており、エコセメント製品の測定結果は、すべて不検出となっています。
本市は、風評に惑わされることなく、十分な安全策を講じながら処理を進めることで、被災地の復興を支援していきたいと考えていますので、皆様のご理解ご協力をよろしくお願いします。

以上について
焼却灰では、環境省の考え方によれば主灰と飛灰にほぼ半々に放射性物質が移行し、飛灰では、がれきの濃度の33.3倍の濃度に濃縮されるといわれます。したがって、想定される飛灰の濃度は女川のがれきの測定値が133Bq/kgであったことから、約4000Bq/kgになります。これが、エコセメントにされた場合、なぜ不検出になるのか、その機構、理由を分かりやすくご説明をされるようお願い致します。風評と言うのは、実害がないのに、噂等によって生じる被害です。現在は明らかに有害な放射性物質が焼却によって拡散されており、実害と言える状態です、風評と言われる論拠を具体的にお示し頂けないでしょうか。放射能は目に見えません、その影響も発言するまでに時間がかかったり、遺伝子異常のようにすぐに目に見えるものになりませんが、だからといって、全く被害は起こらないとなぜ言いきることができるのでしょうか?さらに、がれきには放射性物質だけでなく、アスベスト、ダイオキシン、ヒ素や六価クロムなどさまざまな有害物質が入っていることは、環境大臣も埋め立てに利用出来ないくらい危険であると認めておられます。この点について、市長として絶対安全であると言い切れる根拠はどこにあるのかお示し頂きたいと存じます。
以上、ご回答頂けますようお願い申し上げます。




《問合せ先》
八王子市 環境部 ごみ減量対策課
八王子市元本郷町三丁目24-1
担当   岡田・小山
電話   042-620-7256
FAX 042-626-4506
E-mail  b111200@city.hachioji.tokyo.jp

2012年8月11日土曜日

「女川がれきの受け入れについて」八王子市からの回答


平成24年7月23
     様


八王子市長 石森 孝志



日頃より市政にご協力をいただきありがとうございます。
いただきました「女川がれきの受け入れ焼却について」について、下記のとおり回答します。


昨年の東日本大震災の発生以来、被災地では1年が経った今も災害廃棄物の処理が進まず復興の大きな障害となっています。
地元宮城県女川町からは、一日も早い復興をするために可燃性の災害廃棄物の広域処理を要請されています。
また、東京都市長会では、この依頼に基づき広域処理を実施するもので、平成237月には、多摩地域の総意として被災地の災害廃棄物の受入れを決定し、同年11月に東京都市長会、宮城県女川町、東京都及び宮城県の4者間で基本合意を締結しており、本市を含め東京都では、被災地の支援をしていきます。

さて、東京電力福島第一原発事故由来の放射性物質汚染による諸問題では、京都の五山送り火や静岡県島田市等いろいろな報道がされています。
五山送り火など焼却設備なく薪を燃やすことは、セシウムなどの放射性物質を捕集できず、拡散の恐れはあるやもしれませんが、国が示しているガイドラインでは、排ガス処理装置としてバグフィルター及び排ガス吸着能力を有している施設では焼却可能としており、十分な排ガス設備のある施設では安全な焼却ができると考えています。
また、焼却試験の結果からは、女川町の災害廃棄物は多摩地区の家庭から排出されるごみと同レベルであること、こちらに搬出される災害廃棄物自身の放射能濃度測定の結果からも、平成244月に改正された厚生労働省が示す食品中の放射性物質の基準100Bq/kgよりも低い値のものが搬入されており、安全であると認識しています。
なお、焼却においては、850℃以上の高温の炎の中で揮発したり、小さな液粒となって排ガスと一緒に流れていくものと、燃え残りの灰に残るものに分かれますが、放射性セシウムは、沸点1,300℃、融点646℃であり、排ガス中の揮発した放射性セシウムは、煙道で冷やされて、気体状あるいは液状のセシウムは主に固体状態になりばいじんに凝集、吸着します。ばいじんに吸着した放射性セシウムは、バグフィルターでほぼ完全に除去、捕集されますので、大気中に拡散することはないと考えています。
また、焼却灰は、二ツ塚最終処分場のエコセメント化施設でエコセメントの原料となります。こちらの施設においても、放射能濃度測定を実施しており、エコセメント製品の測定結果は、すべて不検出となっています。
本市は、風評に惑わされることなく、十分な安全策を講じながら処理を進めることで、被災地の復興を支援していきたいと考えていますので、皆様のご理解ご協力をよろしくお願いします。



《問合せ先》
八王子市 環境部 ごみ減量対策課
八王子市元本郷町三丁目24-1
担当   岡田・小山
電話   042-620-7256
FAX 042-626-4506
E-mail  b111200@city.hachioji.tokyo.jp


<そこが聞きたい>低線量被ばくの影響 ECRR委員長 インゲ・シュミッツ・フォイエルハーケ氏


 東京電力福島第1原発事故後、低線量被ばくや内部被ばくへの関心が高まっている。健康影響をどう考えるべきか。約30年前に原爆被爆者のデータを分析し、リスクを指摘したインゲ・シュミッツ・フォイエルハーケ博士に聞いた。【聞き手・須田桃子、写真・木葉健二】

 ◇健康リスク無視するな--インゲ・シュミッツ・フォイエルハーケ氏(76)

 --放射線影響研究所(放影研)が実施した原爆被爆者の健康リスク調査に対し、83年に批判する論文を出しました。どんな研究だったのですか。

 ◆放影研の調査は、直接被爆者の健康リスクを入市被爆者(原爆投下後に爆心地に入った人)や遠距離被爆者と比べていた。そこで私は日本人のがんなどの平均的な発症率や死亡率と比較し、入市被爆者や爆心地から2・5キロ以上離れた所にいた遠距離被爆者の相対的なリスクを求めた。その結果、白血病や呼吸器系・消化器系のがんによる死亡率は全国平均を上回り、発症率は甲状腺がん、白血病、女性の乳がんで1・5~4・1倍だった。放射性降下物(黒い雨、死の灰など)による内部被ばくの影響が大きいことを示す結果だが、当時の学界の常識とは異なっていたため、国際的な医学雑誌に論文を投稿したところ、いったん掲載を拒否された。その後、編集部から提案を受け、論文ではなく編集者への手紙という形で掲載された。

 --放影研による原爆被爆者の研究は、国際放射線防護委員会(ICRP)による放射線の健康リスク評価の基礎データになっています。

 ◆確かに、放影研の調査は重要な情報だ。しかし、原爆投下から最初の5年間のデータが欠けている▽心身が傷つき適切な医療を受けられなくても生き残った「選ばれた人々」のデータである▽原爆投下後の残留放射線を無視している--などの理由で、限定的な情報でもある。一方でこの数十年間、原子力施設の事故や原発労働者、医療用X線照射、自然放射線などに関して、さまざまな研究で低線量被ばくの健康影響が裏付けられてきた。だが、そうした研究の多くは広島・長崎のデータと矛盾することを理由に無視されてきた。ICRPのリスク評価は特に、長期間受け続ける低線量被ばくの影響を過小評価しており、がん以外の病気への意識も欠けている。

 --日本の原爆症認定を巡る集団訴訟では残留放射線による内部被ばくで健康被害を受けたと訴えた原告側が勝訴してきました。しかし、国は「内部被ばくの影響は無視できる」という従来の主張を変えていません。

 ◆多くの国で同様のことが起きている。公の機関が内部被ばくを認めれば、原発労働者の健康リスクに対して責任を認めざるを得ないからだ。原発労働者は、福島で被ばくした人々と同じ問題を抱えている。

 --東京電力福島第1原発事故後、日本では政治家や一部の専門家が「100ミリシーベルト以下の被ばくはほとんど影響がない」などと説明してきました。

 ◆これまでの医学的知見を全く無視した説明だ。100ミリシーベルトを下回る線量でのがんの発症は既に医学誌などで報告されている。放射線は細胞の突然変異を促進させ、これ以下なら安全という線量の「しきい値」は存在しない。予防原則に立って被ばくを低減させる対策が必要だ。

 ◇「線量」市民が把握を

 --放射能への不安から来るストレスのほうが放射線そのものによる健康リスクを上回るという意見や、過剰な反応による経済活動への影響を心配する声もあります。

 ◆騒ぐことのリスクが放射線による健康リスクを上回るという説明は、常になされている。ドイツでもチェルノブイリ原発事故後、同じ主張が展開されたが、科学的根拠のない主張だ。経済活動よりも、これから生まれる子どもを含めた市民の健康こそ、最も大事なことではないだろうか。もちろん、何も分からずに騒ぐのはよくない。環境中や食品の放射線量、個々の被ばく線量をきちんと測定し、それが何を意味するかを市民自らが知ろうとすることが大事だ。

 --福島事故後の日本政府の対応をどう評価しますか。

 ◆福島第1原発の半径20キロ圏内を警戒区域に指定したことは評価している。避難区域の設定で年間20ミリシーベルトを目安としたことも、大規模な原発事故に準備のなかった政府の選択として理解できなくはない。だが現在、他の原発を再稼働させ、意識を「復興」に切り替えようとしていることは、国民に対して非常に無責任ではないか。

 広島・長崎の原爆、あるいは過去の大気圏核実験では、まき散らされた放射性物質の総量が明確だ。しかし福島の場合、正確な放出量が今もって分からない。質・量ともに原爆をはるかに上回る核燃料が無防備な状態で存在し、今後安全に回収できるかも不明だ。事故直後より大幅に少ないとはいえ、放射性物質の放出も続いている。事実の深刻さを認識すべきだ。

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 ■ことば

 ◇欧州放射線リスク委員会(ECRR)

 国際放射線防護委員会(ICRP)や国連科学委員会、各国の政府から独立し、放射線被ばくによる健康影響を科学的に評価することなどを目的に97年に設立された市民団体。03年と10年にリスク評価の方法などを示す勧告を発表している。本部はベルギー・ブリュッセル。

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 ■人物略歴

 ◇Inge Schmitz‐Feuerhake

 1935年、ドイツ・ニーダーザクセン州生まれ。ブレーメン大で実験物理の教授として放射線の健康影響を研究。市民団体「ドイツ放射線防護協会」創設メンバー。04年からECRR委員長。

最終更新:8月9日(木)16時55分 毎日新聞社 より